ポルシェエンジンの仕組み

ポルシェ特有の水平対向エンジン
海外メーカーで唯一ポルシェだけが水平対向エンジンを採用している。日本ではスバルも水平対向エンジンを使用しているが、全世界で二社だけだ。一般的に使われる直列エンジンやV型エンジンではなく水平対向エンジンを使うのは、デメリットも多いがそれ以上のメリットがあるためだろう。水平対向はボクサーエンジンとも呼ばれ、ボクサーがパンチを出しあう様子に見えることが由来とされている。
水平対向エンジンのピストン部分が並行に動くため縦への振動を抑え安定性を上げることが可能だ。
また、エンジンの高さを抑えて重心を低くできるため、優れたバランスやスムーズなハンドリングで運転がより楽しめるだろう。
ただ、この水平対向エンジンは生産コストがかかるというデメリットがある。構造上の制約も多く、生産者から敬遠されがちだ。
ポルシェオーナー側にも、メンテナンスの頻度が高かったり燃費が悪かったりする点がデメリットとしてあげられる。V型や直列へ移行していくメーカーが多いのはデメリットを超えるプラス面を見だせないためだろう。そのおかげで、ポルシェの水平対向エンジンは希少性が上がりより人気が高まっているのだ。
ポルシェと言えば空冷エンジン
1997年以降は生産打ち切りになってしまった空冷エンジン。旧車が高値で取引されるのはこの空冷エンジンの根強い人気があるためだ。
排ガス規制によってポルシェの新しいモデルでは水冷式エンジンが採用されている。今でも空冷が人気な理由は、独特なエンジン音やガソリンとオイルの混じったような特有のニオイ、トルクの感覚など、性能面で車を選ぶ人にはデメリットにしかならないところが、車好きを虜にしている。空冷エンジンは水冷エンジンより単純な構造になっているため、故障しても修理は簡単にできるそうだ。オイル漏れが付きものとはいってもメンテナンスを怠ると故障の原因になるので注意は必要だ。
エンジン音が美しい
水平対向6気筒エンジンが奏でるエンジン音はポルシェファンを魅了する。機械音のようで緻密に計算されているサウンドは、エンジン音専門のエンジニアが作り込んでいるのだ。ポルシェらしさを追及して、一定数以上になるタイミングでターボチャージャーのバルブを開閉させて音色を変えているほどのこだわりっぷり。空冷式のファンやシリンダーも他車にはないワクワクするような音色を奏でる。マフラーにもこだわっていて、心地よく軽快に運転できるように設計されているのだ。車体のデザインだけでなく音という細部にまでこだわっているポルシェの魅力が伝わるだろうか。